はじめに
テニスを始めて間もない方にとって、「フォアハンド」は最も多く打つショットであり、ラリーや試合の中心となる基本技術です。
一見シンプルに見えますが、フォームのちょっとした乱れがボールの高さや方向を大きく変えてしまうため、早い段階で正しい動きを身につけておくことが上達への近道。ここでは、初心者が押さえておきたいフォームづくりから練習方法まで、雑誌スタイルで詳しく解説します。
フォアハンドを制する者が試合を制す
ラリーの約7割はフォアハンドで打たれると言われます。得意なフォアハンドを持つことは、相手を押し込み、試合の主導権を握る大きな武器。逆に、フォアハンドに不安があると守り一辺倒になり、チャンスボールを決め切れません。初級のうちから自信を持って打てるフォームを作っておくことが、次のレベルへ進むための土台となります。
まずはグリップから整える
フォアハンドを安定させる第一歩は、正しい握り方です。初心者に最も扱いやすいのは「イースタングリップ」。ラケットを床に置き、握手するように自然に持つとこの握りになります。
人差し指の付け根がラケットの3番目の面(ベベル3)に乗る位置が目安。
握りすぎは禁物。卵をそっと包むように、手首に余裕を残すとスムーズにスイングできます。
この握りを習慣化することで、ボールが自然な回転で飛び、ネットやアウトのミスが減っていきます。
安定感を生む構えとフットワーク
フォーム以前に大切なのが足の動き。いくら腕を正しく振っても、ボールとの距離が合わなければ正確に当たりません。
準備姿勢は両足を肩幅に開き、膝を軽く曲げ、ラケットは体の正面へ。
相手が打つ瞬間に軽くジャンプする「スプリットステップ」で、次の動きへ素早く反応。
ボールに合わせて横に動く「サイドステップ」で、常に体の横で打点を作る。
これらを無意識にできるようになると、打つ前からショットの質がぐんと上がります。
全身で打つスイングの基本
腕だけでボールを打とうとすると、力みやケガの原因に。腰や肩を回転させ、全身の連動を意識しましょう。
テイクバック:ラケットをコンパクトに後方へ。面を少し下げることで自然なスピンがかかります。
インパクト:体重を後ろ足から前足へ移しながら、ボールの高さに合わせてスイング。
フォロースルー:打った後はラケットを肩の上まで大きく振り抜き、減速せずに動きを完結。
力を入れすぎず、リズミカルに全身で振ることが安定したショットの鍵です。
ありがちなミスと修正法
初心者に多い失敗は次の3つ。
ボールがアウトする:ラケット面が上向き。インパクト時に面をやや下に。
ネットにかかる:テイクバックが小さいか、スイングが途中で止まっている。
力みすぎ:グリップを少し緩め、肩と腰の回転で打つ意識を。
自分のミスの傾向を知ることで、練習の質も格段に上がります。
効果的な練習メニュー
壁打ち:一定のリズムでフォームを確認。1分間ラリーを目標に。
球出し練習:コーチや練習仲間に同じコースへボールを送ってもらい、足を止めずに連続打ち。
ラリー練習:実戦を意識してコースを打ち分ける。目標地点にコーンを置くと精度が上がります。
時間が限られていても、1日10分の壁打ちだけでボール感覚は確実に磨かれます。
まとめ
フォアハンドは、グリップ、構え、スイング、そしてフットワークの総合力で決まります。初級者のうちに基礎を固めておくことで、中級・上級へステップアップしたときの伸びがまるで違います。
“無理に強く打たない、全身でリズムよく”を合言葉に、毎回の練習を積み重ねましょう。試合で自信を持って振り抜くフォアハンドは、あなたの最大の武器となるはずです。
